夫婦で遺言書を作る際のポイントは、「お互いの気持ちを尊重しつつ、内容に矛盾がないようにすること」です。
1. 遺言書は「二人」で書けない
遺言書は、必ず「一人一通」で作成する必要があります。夫婦で連名で作成したり同じ紙に書いたりすることはできません。もし連名で作成してしまってもそれは法的に無効とされてしまうので注意してください。
お互いに自分の財産について、誰に何を相続させたいのかきちんと考えて書きましょう。
2. まずは夫婦でしっかり話し合う
遺言書を作成する前に、お二人で「将来、どうしたいか」をしっかり話し合うことが最も重要です。
- 配偶者にどの財産をどれくらい遺したいか
- 子供たちにどの財産をどのように分けたいか
- お墓や仏壇を誰に託したいか
など、率直な気持ちを話し合ってみてください。 話し合いの際に気をつけたいのは、「相続させたい相手の生活や気持ちを想像すること」です。
たとえば、「夫は長男に家を継いでほしいと考えているけれど、長男夫婦はすでに自分たちの家を建てている」といった場合、夫が遺言書で長男に家を相続させようとしても、長男夫婦にとっては負担になってしまうかもしれません。
「もし、この遺言書を書いたら、受け取る人はどう思うかな?」という視点を持って話し合うとより現実的で優しい遺言書が作れます。
3. 遺言書の内容に矛盾がないか確認する
夫婦それぞれが遺言書を作成したら内容に矛盾がないか確認しましょう。
例えば、夫の遺言書には「妻に自宅を相続させる」と書かれているのに、妻の遺言書には「夫の死後、自宅は長男に相続させる」と書かれている場合などです。
このような矛盾があるとご家族が混乱してしまいますし、せっかくの遺言書の効力が弱くなってしまう可能性もあります。
夫婦それぞれの遺言書をお互いに見せ合うことに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、法的な整合性をとるためにも、話し合いの段階で内容を擦り合わせ矛盾がないようにすることが大切です。
4. 信頼できる専門家への相談も検討する
お二人だけで遺言書を作成するのが難しいと感じたり、ご自身の財産や家族構成が複雑な場合は、専門家にご相談いただくのも一つの方法です。
弁護士や司法書士といった法律の専門家がお二人の気持ちを丁寧に伺いながら、法的に有効で、お二人の意思を尊重した遺言書作成のお手伝いをさせていただきます。
ご夫婦で遺言書を作成することはお互いの愛情や感謝を形にする最後のラブレターのようなものだと考えています。ぜひ、お二人でじっくりと話し合い、素敵な遺言書を作成してください。