みなし相続財産って何?〜普通の相続財産と何が違うの?〜
まず、相続財産って聞くと、ご主人の残された預貯金や不動産、車なんかを思い浮かべますよね?これらは「本来の相続財産」と言って、ご主人が生きていたときに持っていた財産のことです。
それに対して、「みなし相続財産」というのは、ご主人が亡くなられたからこそ受け取れる財産のことなんです。生きていた時にはご主人の財産ではなかったけれど、相続税を計算する上では相続財産と「みなされる(=考えられる)」ので、こう呼ばれています。
分かりやすく言うと、配偶者が亡くなったことで、急に「ぽん!」と湧いて出てくるようなお金や権利だとイメージしてみてください。
みなし相続財産の具体例
具体的には、次のようなものがありますよ。
- 死亡保険金
- ご主人が生命保険に入っていて、ご主人が亡くなったときに保険会社から支払われるお金のことです。受取人が奥様やお子様になっていることが多いですね。
- ご主人が生前に保険料を払っていたので、亡くなったことで奥様方が受け取る形になります。
- 死亡退職金
- ご主人がお勤め先で働いていて、亡くなられたときに会社から支払われる退職金のことです。これも、亡くならなければ発生しないお金ですよね。
- 会社によっては、「弔慰金(ちょういきん)」という形で、お見舞い金のようなものが支払われることもありますが、これも死亡退職金と同じように扱われることがあります。
- 生命保険契約に関する権利
- これは少し難しいのですが、もしご主人が契約者で被保険者が奥様やお子様など別の方、受取人も別の方という生命保険契約があった場合で、ご主人が亡くなったことでその保険契約が終了し、解約返戻金相当額を受け取れる権利がある場合などです。あまり一般的ではありませんが、こういうケースもあります。
- 相続人が受け取る弔慰金(ちょういきん)
- 会社から支給される弔慰金や、香典返しをしないことが前提で受け取る香典のうち、社会通念上相当と認められる金額を超える部分については、死亡退職金やその他の贈与として相続税の対象になる場合があります。ただし、一般的な範囲内であれば非課税になることが多いです。
みなし相続財産の税務上の扱い〜ここがポイント!〜
さて、ここからが一番大事な税金の話です。
みなし相続財産は、原則として相続税の対象になります。でも、安心してください!税金がかからない「非課税枠」というものが設けられているんです。
非課税枠の計算方法
非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数
例えば、ご主人、奥様、お子さん2人のご家庭で、法定相続人が奥様とお子さん2人の合計3人だとします。
- 非課税枠 = 500万円 × 3人 = 1,500万円
この1,500万円までは、死亡保険金や死亡退職金を受け取っても相続税がかからないんです。
例で見てみましょう
- ケース1:死亡保険金が1,000万円の場合
- 非課税枠が1,500万円なので、1,000万円全額が非課税になり、相続税はかかりません。
- ケース2:死亡保険金が2,000万円の場合
- 非課税枠が1,500万円なので、2,000万円 − 1,500万円 = 500万円が相続税の対象になります。この500万円が、他の相続財産と合算されて相続税が計算されます。
知っておきたい注意点!
- 「法定相続人の数」って誰?
- 基本的に、奥様、お子様、ご両親(お子様がいらっしゃらない場合など)がこれにあたります。養子がいる場合など、数え方に決まりがあるので注意が必要です。
- 非課税枠は「合計」で計算する
- 例えば、死亡保険金と死亡退職金の両方を受け取った場合、非課税枠1,500万円は、これらの合計に対して適用されます。つまり、保険金と退職金を合わせた金額が1,500万円まで非課税になるということです。
- 相続放棄した人は非課税枠の計算に入らない?
- いいえ、相続を放棄した人でも、死亡保険金を受け取っていれば「法定相続人の数」には含まれて非課税枠の計算に影響します。ただし、実際に相続税を納める必要があるのは、相続放棄せずに財産を受け取った人だけです。
- 生命保険契約に関する権利も税務上の扱いが違う場合がある
- もし、保険料を支払っていた人と保険金の受取人が異なる場合は、贈与税や所得税の対象になることもあります。これは少し複雑なので、もし該当しそうな場合は専門家に相談することをお勧めします。
まとめ
- みなし相続財産は、配偶者が亡くなって初めて発生する財産のこと。主なものに死亡保険金や死亡退職金があります。
- これらは、相続税を計算する上で相続財産とみなされます。
- ただし、「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠があり、この範囲内であれば相続税はかかりません。