遺言書作成に必要な書類は、大きく分けて3つのグループに分けられます
遺言書を作成する際に必要な書類は、遺言書の種類(自筆証書遺言か公正証書遺言か)によって少し変わってきますが、基本的には以下の3つのグループに分けられます。
- ご自身の情報に関する書類:ご本人様が「誰」であるかを確認するための書類です。
- 相続人(財産を受け取る人)の情報に関する書類:誰に財産を渡すのかを明確にするための書類です。
- 財産に関する書類:どの財産を誰に渡すのかを明確にするための書類です。
今回は、最も確実で安心な「公正証書遺言」を作成する際に、特に重要となる戸籍謄本などの書類について詳しくお話していきます。
グループ1:ご自身の情報に関する書類
- 印鑑登録証明書
- 種類:市役所や区役所で取得する「印鑑登録証明書」です。
- 取得方法:お住まいの市区町村役場の窓口でご自身の印鑑登録カード(またはマイナンバーカード)を提示して請求します。
- 注意点:公正証書遺言を作成する際はこの印鑑登録証明書に記載されている実印を押すことになります。有効期限は発行後3ヶ月以内であることが一般的です。
グループ2:相続人の情報に関する書類
- ご自身の戸籍謄本
- 種類:本籍地がある市区町村役場で取得する「戸籍謄本」です。
- 取得方法:本籍地の市区町村役場の窓口でご自身の身分証明書を提示して請求します。遠方の場合は、郵送での請求も可能です。
- なぜ必要?:ご自身の戸籍謄本は誰が法定相続人(法律で定められた相続人)であるかを証明するために必要となります。
- 相続人全員の戸籍謄本
- 種類:相続人となる方全員の「戸籍謄本」です。
- 取得方法:各相続人の本籍地がある市区町村役場で取得します。相続人がご家族の場合、ご自身の戸籍謄本に一緒に記載されていることもあります。
- なぜ必要?:公正証書遺言を作成する際、相続人が誰であるか、その方々との関係性を公証役場で確認するために必要です。
- 相続人の住民票
- 種類:相続人となる方全員の「住民票」です。
- 取得方法:各相続人の住所地の市区町村役場で取得します。
- なぜ必要?:相続人の住所を証明するために必要です。
【戸籍謄本と戸籍抄本、何が違うの?】 よく聞かれることなのですが、戸籍謄本は「戸籍に記載されている全員の情報」が載っているもの。一方、戸籍抄本は「戸籍に記載されている特定の人だけの情報」が載っているものです。遺言書作成の際は、家族全員の関係性がわかる戸籍謄本が必要になることが多いです。
【相続人情報の書類取得の注意点】 ご家族の戸籍謄本や住民票は、ご本人様以外が取得する場合、委任状が必要になることがあります。事前にご本人様に相談してスムーズに取得できるように準備しておきましょう。
グループ3:財産に関する書類
遺言書に書く財産の内容によって、必要な書類は変わります。
- 不動産(土地や建物)
- 種類:
- 固定資産評価証明書:不動産の価値を証明する書類です。
- 登記事項証明書(登記簿謄本):不動産の所有者が誰で、どんな情報が記載されているかを証明する書類です。
- 取得方法:
- 固定資産評価証明書:不動産がある市区町村役場の資産税課などで取得できます。
- 登記事項証明書:最寄りの法務局で取得できます。
- なぜ必要?:遺言書に「どの不動産を誰に渡すか」を明確に記載するために必要です。不動産の正確な情報(所在、地番など)を確認できます。
- 種類:
- 預貯金
- 種類:通帳のコピーや、残高証明書など。
- 取得方法:銀行などの金融機関で発行してもらいます。
- なぜ必要?:どこの銀行のどの口座を誰に渡すかを明確にするために必要です。
- その他(株式、車など)
- 種類:証券会社の残高証明書、自動車の車検証など。
- なぜ必要?:財産の内容を明確にするためです。
まとめとアドバイス
遺言書を作成する際は、たくさんの書類が必要になり少し大変に感じるかもしれません。しかし、これらの書類をきちんと揃えることで、間違いのない、誰が見ても明確な遺言書を作ることができます。
特に公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が内容を確認してくれるため、後々、ご家族の間で「この遺言書は無効だ」といった争いが起こる心配がほとんどありません。
もし「どうやって書類を集めたらいいのか分からない」「どこに相談したらいい?」と不安に思われるようでしたら、お近くの公証役場に一度相談されることをおすすめします。公証役場では、どのような書類が必要か、具体的に教えてもらうことができます。