1. 税理士を選ぶ際のポイント
相続税の申告は年に何度もやるようなものではありませんから、専門的な知識や経験がとても大切になります。
① 相続税に強い税理士かどうかを確認する
- 相続税専門の税理士を選ぶのが一番です:税理士さんにも専門分野があります。会社を経営されている方の法人税が得意な方もいれば、個人事業主の所得税が得意な方もいます。相続税は専門の知識と経験が求められる分野なので「相続税専門」や「相続に力を入れています」と明言している税理士さんを選ぶのが安心です。
- 相続税の申告実績を確認する:過去にどれくらいの件数を扱ってきたか尋ねてみましょう。実績が豊富な税理士さんほど様々なケースに対応するノウハウを持っています。
- 「書面添付制度」を利用しているか:税理士さんが申告書の記載内容を調査し問題がないことを税務署に証明する制度です。この制度を利用している税理士さんは申告内容に自信と責任を持っている証拠です。税務調査が入る確率がぐっと減りますからぜひ確認してみてください。
② 相性やコミュニケーション能力
- 話しやすい人かどうか:相続の話はご家族のデリケートな部分にも踏み込むことがあります。何でも気軽に相談できる話しやすい雰囲気の税理士さんを選びましょう。初回の無料相談などで、実際に会って話してみるのが一番です。
- 専門用語を避けて分かりやすく説明してくれるか:専門家ですからどうしても難しい言葉が出てくることがあります。それを私たちが理解できるようにかみ砕いて説明してくれるかどうかも大切なポイントです。
③ 料金体系が明確か
- 費用の見積もりを事前に出してもらう:後から「こんなに高くなるなんて聞いてない!」とならないように、必ず事前に見積もりを出してもらいましょう。料金体系が明確で、何にいくらかかるのか丁寧に説明してくれる税理士さんが信頼できます。
2. 相続税対策にかかる費用
税理士さんに支払う費用は、主に「相続税申告の報酬」です。これは、相続財産の総額によって変わってくるのが一般的です。
- 基本報酬:相続財産の総額に応じて報酬額が決まることが多いです。例えば、「相続財産が1億円までなら報酬は50万円」といった形です。
- 加算報酬:相続人が複数いる場合や土地の評価が複雑な場合など特別な手間がかかるときに加算される費用です。
- その他:戸籍謄本の取得費用などの実費や遠方への交通費などがかかることもあります。
【費用の相場】 相続財産の額によって大きく変動しますが、一般的には、相続財産の0.5%〜1%程度が目安と言われています。
例:相続財産が1億円の場合 報酬額は50万円〜100万円くらいになることが多いです。
無料相談を利用しましょう 多くの税理士事務所では初回相談を無料で受け付けています。まずは何人かの税理士さんに相談してみて費用や人柄を比較検討するのが良い方法です。
3. 相談時の注意点
せっかくの相談の時間を有効に使うため、少し準備をしておくとスムーズです。
① 相談前に準備しておくこと
- 財産リストの作成:ご自宅や土地、預貯金、生命保険、有価証券など、おおよその財産をメモしておきましょう。
- ご家族の状況を整理:誰が相続人になるのか(配偶者、お子様など)を把握しておきましょう。
- 質問したいことをメモしておく:「自宅はこのままで大丈夫?」「生命保険って相続税対策になるの?」など、知りたいことを書き出しておくと聞き忘れがありません。
② 相談時には正直に話す
- 包み隠さず話すことが大切:ご家族の状況や財産について、正直にお話することでより的確なアドバイスをもらえます。
- 専門家からの質問には丁寧に答える:税理士さんはより正確な情報を得るために様々な質問をします。分からないことや曖昧なことは「ちょっと分からないので調べてみます」と伝えても大丈夫です。
4. 弁護士や司法書士との連携
相続の手続きは税金のことだけではありません。税理士さんは税金の専門家ですがそれ以外の部分でも他の専門家と連携してサポートしてくれることが多いです。
- 弁護士:相続人の間で揉め事(遺産分割協議がまとまらないなど)が起こった場合、法律の専門家である弁護士の出番です。相続に関するトラブルを法的に解決してくれます。
- 司法書士:不動産の名義変更(相続登記)は司法書士の専門分野です。ご自宅などの土地建物の所有者を変更する手続きを代行してくれます。
相続に強い税理士さんは、信頼できる弁護士さんや司法書士さんとネットワークを持っていることが多いです。「この先生は、いつもお世話になっている信頼できる先生ですよ」と紹介してもらえることもあります。
まとめ
相続税対策は早めに準備を始めるほど選択肢が増え円滑に進めることができます。
- 相続税に強い税理士さんを選ぶ:実績、経験、書面添付制度の利用の有無を確認しましょう。
- 相性を大切にする:気軽に話せる人柄かどうか、無料相談で確かめましょう。
- 費用は事前に確認する:複数の事務所で見積もりを取り、納得のいくところを選びましょう。
- 他の専門家との連携も視野に:相続の専門家チームとして、税理士さん、弁護士さん、司法書士さんを上手に活用しましょう。