小規模宅地等の特例を最大限活用!自宅の相続税を抑える

小規模宅地等の特例って、どんな制度?

この特例は、ざっくり言うと「住み慣れた家や、事業をしていた土地は、残された家族が困らないように相続税を安くしてあげましょうね」という制度なんです。特に、土地の評価額が高い都市部に住んでいる方にとっては、相続税がグッと抑えられるとてもありがたい制度なんです。

適用要件:誰がどんな場合に使えるの?

この特例を使うには、いくつか条件があります。ご自宅(特定居住用宅地等)の場合に絞って見ていきましょう。

  1. 亡くなった方(被相続人)の自宅であったこと
    • 亡くなった方が住んでいた土地である必要があります。
  2. 宅地の種類と限度面積
    • 自宅の敷地(特定居住用宅地等)の場合、330平方メートルまでが対象になります。これを超えた部分は特例の対象外です。
  3. 相続人(財産を引き継ぐ人)の要件
    • 配偶者(夫または妻)が相続する場合
      • 配偶者が相続する場合は、無条件でこの特例が使えます。
    • 同居親族が相続する場合
      • 亡くなった方と同居していた親族(子や孫など)が、その自宅を相続して、相続税の申告期限まで住み続けることが必要です。
    • 同居していない親族が相続する場合(家なき子特例)
      • 亡くなった方に配偶者も同居親族もいない場合に、別居している親族(子や孫など)が相続するケースです。この場合、相続する親族が、相続開始前3年以内に自分や配偶者所有の家に住んだことがないなど、いくつかの細かい条件を満たす必要があります。この「家なき子特例」は要件が少し複雑なので、もし該当しそうなら専門家にご相談ください。

減額割合:どれくらい安くなるの?

ご自宅の敷地(特定居住用宅地等)の場合、評価額が80%減額されます!

例えば、評価額が5,000万円の自宅の土地があったとします。

  • 5,000万円 × (100% – 80%) = 1,000万円

つまり、5,000万円の土地が、相続税の計算上は1,000万円として扱われるんです。

注意点:うっかりミスで損しないために!

とってもお得な特例ですが、いくつか注意点があります。

  1. 申告期限厳守!
    • 相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)までに、相続税の申告書にこの特例を適用する旨を記載し、必要な書類を添付して税務署に提出する必要があります。期限を過ぎると、適用できなくなってしまうので注意してください。
  2. 分割の状況
    • この特例を適用するためには、原則として、相続税の申告期限までに遺産分割が確定していることが必要です。誰がどの財産を相続するか、しっかり話し合って決めておきましょう。
  3. 住み続けられるか
    • 同居親族が相続する場合、申告期限までその家に住み続けることが条件です。もし、引っ越してしまうと特例が使えなくなる可能性があります。
  4. 複数の宅地がある場合
    • 亡くなった方が自宅以外にも事業用の土地などを持っていた場合、それぞれに小規模宅地等の特例が適用できる可能性がありますが、全体での限度面積や適用順序など、複雑なルールがあります。この場合は、必ず専門家に相談してください。
  5. 税務調査のリスク
    • 要件を満たしていないのに適用してしまうと、後で税務署から指摘を受け、追徴課税される可能性があります。不明な点があれば、必ず税理士などの専門家に確認しましょう。

自宅の相続税を大幅に減らす方法まとめ

小規模宅地等の特例を上手に活用すれば、ご自宅の相続税を大幅に減らすことができます。

最も有効な方法は、配偶者が自宅を相続することです。配偶者であれば、無条件でこの特例が使え、評価額が80%減額されるため、相続税の負担を大きく軽減できます。

もし配偶者がすでに他界されている場合は、同居しているお子さんや、一定の条件を満たせば別居しているお子さんも特例を使える可能性があります。

生前からの準備が大切です!

  • 家族会議を開く:元気なうちに、ご家族で相続について話し合い、誰が自宅を相続するか、どのように分割するかなどを決めておくとスムーズです。
  • 遺言書の作成:誰に自宅を相続させるかを明確にするために、遺言書を作成しておくことをお勧めします。特に、この特例を適用させたい相続人を指定しておくことで、後のトラブルを避けることができます。
  • 専門家への相談:相続は、一つとして同じケースはありません。ご自身の状況に合わせて、税理士や弁護士などの専門家に相談し、最適な対策を立てることが、一番安心で確実な方法です。

相続に関するお悩みは、
私たちにご相談ください。

電話でのお問い合わせ

フリーダイヤル

0120-453-940

受付時間 10:00〜18:00

※土日祝日は時間帯や状況によって、後日での折り返し対応となる場合があります。

メールでのお問い合わせ

24時間受付

※ご返信まで数日かかる場合があります。

配偶者が亡くなったら最初にするべきことリスト

亡くなった直後から葬儀、相続手続きまでの具体的なリストと注意点 まずは全体像を把握できるよう、亡くなった直後から相続手続き完了までの流れを大きく3つのフェーズに分けてご説明します。 それぞれのフェーズでやるべきことと注意点を詳しく見ていきましょう。 フェーズ1:逝去直後~葬儀前日:臨終から葬儀の準備まで この時期は、悲しみの中でも冷静に、しかし迅速に対応が求められることが多いです。 【やるべきこと

Read More »

配偶者の遺産分割協議:円満に進めるためのヒント

円満な遺産分割協議のための心構え  一番大切なのは「お互いを尊重する気持ち」です。 コミュニケーションのポイント  具体的な話し合いの進め方についてです。 専門家への相談時期 「こんなことで専門家に相談していいのかな?」と迷うこともあるかもしれませんね。しかし、困った時は遠慮なく専門家を頼るのが、円満な解決への近道です。 【具体的な相談先】 困った時に適切な専門家へ相談することで、精神的な負担も軽

Read More »

配偶者が外国人でも相続は可能?国際相続の基礎知識

外国籍の方が日本で亡くなられた場合、相続の手続きは「どこの国の法律が適用されるか」という点がポイントになります。これを「準拠法(じゅんきょほう)」と言います。 1.どの国の法律が適用されるの?(準拠法の決定) 相続手続きを始める前に、まず「どの国の法律に基づいて相続を進めるのか」を決めなければなりません。これは、亡くなられた方(被相続人)が「どの国に一番関係が深かったか」によって決まります。 【こ

Read More »

配偶者が再婚したら相続はどうなる?

再婚した場合の相続権の変化と相続順位への影響 まず相続人が誰になるか、そしてその順位がどうなるかをご説明します。 遺言書による対策 再婚家庭では、相続人が複雑になることが多いので、遺言書を作成することが非常に重要になります。遺言書があれば、ご自身の意思に基づいて、誰にどの財産をどれだけ渡すかを明確にすることができます。 【遺言書でできること】 【遺言書作成のポイント】 相続税対策について 再婚によ

Read More »

「寄与分」を主張する!配偶者の貢献を相続に反映させるには

寄与分とは? まず、寄与分とは何か、からお話ししましょう。 相続は、亡くなった方(「被相続人」といいます)の財産を、法律で定められた「法定相続人」が分け合うのが基本です。でも、もし相続人の中に、被相続人の財産が増えたり、減るのを防いだりするために、特別な貢献をした方がいたらどうでしょう? その方が、他の相続人と同じ割合でしか財産をもらえないとしたら、なんだか不公平に感じますよね。 そこで、民法には

Read More »

配偶者が受け取る「みなし相続財産」とは?

みなし相続財産って何?〜普通の相続財産と何が違うの?〜 まず、相続財産って聞くと、ご主人の残された預貯金や不動産、車なんかを思い浮かべますよね?これらは「本来の相続財産」と言って、ご主人が生きていたときに持っていた財産のことです。 それに対して、「みなし相続財産」というのは、ご主人が亡くなられたからこそ受け取れる財産のことなんです。生きていた時にはご主人の財産ではなかったけれど、相続税を計算する上

Read More »

遺言書で寄付をしたい!社会貢献と相続の関係

遺言書で寄付をする方法:遺贈寄付について 遺言書で寄付を行うことを「遺贈寄付(いぞうきふ)」といいます。 ご自身の死後、遺言書に書かれた通りに財産を特定の団体(NPO法人、公益法人、学校法人、社会福祉法人など)に贈るという方法です。 1. 遺言書の書き方:必ず「遺言書」に書くこと 口約束やメモ書きでは効力がありません。必ず、法律で定められた形式に則った「遺言書」を作成する必要があります。 遺言書に

Read More »

遺言書作成の相談先:弁護士・司法書士・行政書士の選び方

遺言書作成をサポートする専門家 主に、遺言書作成のサポートをしてくれる専門家は以下の3つです。 それぞれ得意分野や役割が少しずつ違うんです。 1. 弁護士さん 弁護士さんは法律の専門家です。 もし相続人同士でもめごとが起こりそうな場合、例えば「特定の相続人に多く財産をあげたいけど、他の兄弟から文句が出そう」といった心配がある場合に頼りになります。 遺言書の作成はもちろん、相続争いになった場合の代理

Read More »

遺言書保管制度とは?法務局での保管のメリット

制度の3つの大きなメリット この制度の一番の魅力は「安心感」です。具体的には以下の3つの大きなメリットがあります。 利用方法(手続きの流れ) 注意点(ここが一番大事です!) この制度はとても便利ですが、いくつかの注意点があります。ここを間違えるとせっかくの手続きが無駄になってしまうのでしっかり確認してください。 自筆証書遺言書保管制度は、ご自身で遺言書を書く方にとってとても心強い味方です。ご不明な

Read More »

エンディングノートと遺言書の違い:どちらも必要?

エンディングノートと遺言書の役割の違い 簡単に言うと、「法的な効力」があるかどうかが一番大きな違いです。 エンディングノートは、あなたとご家族のための「想いを伝える手帳」です。 遺言書は、ご自身の財産をどう分けるかを法的に定める「法律の書類」です。 両方を活用するメリット エンディングノートと遺言書は、それぞれ役割が違うからこそ両方を一緒に活用することでより安心して未来の準備ができます。 このよう

Read More »

遺言書作成の費用:専門家に依頼する場合の目安

遺言書にはいくつかの種類がありますが、一般的に専門家が作成をお手伝いするのは「公正証書遺言」というものです。この公正証書遺言は、公証役場で公証人という法律の専門家が作成に関わるため、内容の信頼性が高く、紛失や偽造の心配も少ないという大きなメリットがあります。 遺言書作成の専門家費用相場(公正証書遺言の場合) 専門家への依頼費用は、主に以下の要素で決まります。 一般的な費用相場は、おおよそ10万円か

Read More »

認知症になる前に!判断能力があるうちに遺言書を

なぜ、判断能力が低下する前に遺言書を作成する必要があるの? 「遺言書」と聞くと「なんだか大げさ」「まだ早い」と思われるかもしれません。実は、認知症などで判断能力が低下してしまうと、遺言書を新しく作成したり、内容を変更したりすることができなくなってしまうのです。 これは遺言書が「自分の意思で財産の分け方を決める」というとても大切な意思表示だからです。法的には、遺言能力(判断能力)がない人が作成した遺

Read More »
上部へスクロール