「一度書いた遺言書、やっぱり内容を変えたいな…」 「前に書いた遺言書って、どうなっちゃうんだろう?」
そうお考えの方、ご安心ください。遺言書はいつでも、何度でも変更したり、新しく書き直したりすることができます。
1. 遺言書を変更・撤回する方法
遺言書を変更する方法は、大きく分けて2つあります。
方法1:新しい遺言書を作成する
これが一番シンプルで確実な方法です。 新しい遺言書を作成すると、以前の遺言書と内容が異なっている部分だけが変更されたことになります。
【ポイント】
- 古い遺言書は破棄しなくても大丈夫:新しい遺言書が有効になります。
- 全文を書き直す必要はない:変更したい部分だけを新しい遺言書に書けばOKです。
- 日付に注意:新しい遺言書には必ず作成した日を記載してください。古い遺言書よりも日付が新しい方が優先されます。
(例)
- 古い遺言書:「長女に不動産を相続させる」
- 新しい遺言書:「長女に預貯金を、次女に不動産を相続させる」
この場合、古い遺言書のうち「長女に不動産を相続させる」という部分だけが、新しい遺言書の内容に変わります。
方法2:古い遺言書を破棄する
「もうこの遺言書はなかったことにしたい!」という場合は、物理的に破いてしまうことで遺言書の内容を撤回することができます。
【ポイント】
- 破棄する際は、必ず原本を:コピーではなく、署名・捺印がある原本を破棄してください。
- 公正証書遺言の場合:破棄しても無効にはなりません。この場合は必ず「新しい遺言書」を作成して、その中で「以前の公正証書遺言を撤回する」という意思を明確に示しましょう。
2. 新しい遺言書の作成について
新しい遺言書は、以前の遺言書と同様に法律で定められた形式に則って作成する必要があります。
自筆証書遺言の場合
- 全文を自筆で書く:パソコンや代筆はNGです。
- 日付を記載する:年月日を正確に書きましょう。
- 署名・捺印する:ご自身の名前と認印でも構いませんので印鑑を押してください。
これらの要件を満たしていないとせっかく新しく書いた遺言書が無効になってしまうので注意が必要です。
公正証書遺言の場合
公正証書遺言の場合は、公証役場に行って公証人に依頼して作成してもらう必要があります。 新しい公正証書遺言を作成すればそれが優先されます。
3. 以前の遺言書との関係
「新しい遺言書を書いたら古い遺言書はどうなるの?」という疑問をお持ちの方も多いと思います。
- 内容が矛盾している場合:日付が新しい遺言書の内容が優先されます。
- 内容が矛盾していない場合:両方の遺言書の内容が有効になります。
(例)
- 古い遺言書:「長女に不動産を相続させる」
- 新しい遺言書:「次女に預貯金を相続させる」
この場合、2つの遺言書の内容は矛盾していないので、どちらも有効です。 結果として、長女は不動産を、次女は預貯金を相続することになります。
まとめ
- 遺言書は、いつでも何度でも変更・撤回が可能です。
- 新しい遺言書を作成するのが一番確実な方法です。
- 日付が一番新しい遺言書の内容が優先されます。
- 新しい遺言書を作成する際は、以前の遺言書と同様に法律の要件をしっかり守りましょう。
遺言書は、皆さんの「最後の想い」を形にする大切なものです。 ご自身の気持ちの変化に合わせて、安心して見直してください。