付言事項ってなに?
遺言書には、大きく分けて「法的に効力のある部分」と「付言事項(ふげんじこう)」の2つの部分があります。
「法的に効力のある部分」とは、誰にどの財産をどれだけ渡すか、といった法的に定められた事項のことです。例えば、「自宅の土地建物は長男の○○に相続させる」といった内容ですね。これは法律によって厳格に定められています。
一方で「付言事項」は、遺言書を書いた方が、ご自身の思いや、なぜそのような財産の分け方にしたのか、ご家族への感謝の気持ちなどを自由に書ける部分です。法的な効力はありませんが、ご家族が遺言書の内容を納得し、争いを避けるために非常に重要な役割を果たします。
付言事項の具体的な記述例
付言事項には、決まった形式はありません。ご自身の言葉で自由に書いていただくのが一番です。
いくつか例をご紹介します。
1. 遺産の分け方について説明する
「なぜ長男に家を相続させ、長女には預金を多くしたのか」といった理由を説明します。
- 例:
- 「長男の○○には、同居して私達の面倒をよく見てくれたため、感謝の気持ちとして自宅を相続させます。」
- 「長女の○○には、すでに家を建てており、生活の安定のため預金を多く残します。」
2. 家族への感謝や思いを伝える 👨👩👧👦
遺言書は、ご家族への最後のメッセージとなります。感謝の気持ちを伝えることで、ご家族の心の負担を和らげることができます。
- 例:
- 「愛する妻○○、長年にわたり私を支え、共に人生を歩んでくれてありがとう。心から感謝しています。」
- 「子供たちへ。あなたたちを授かり、本当に幸せな人生でした。これからも仲良く、助け合って生きていってほしいと願っています。」
3. 遺言執行者や墓守について伝える 🏡
遺言の内容を円滑に実行してもらうため、遺言執行者への依頼やお墓を誰が引き継ぐかなどを記すこともできます。
- 例:
- 「遺言執行者には○○弁護士にお願いしました。私の思いを尊重し、円滑に手続きを進めてくださることを期待しています。」
- 「我が家のお墓は、長男が守り続けてくれることを願います。」
家族へのメッセージの重要性
なぜ、付言事項で家族へのメッセージが重要なのでしょうか。
それは、ご家族が「なぜこのような遺産の分け方になったのか」を理解し、納得するためです。法的に厳格な遺言書だけでは、ご家族は「なぜ?」という疑問や不満を抱え、最悪の場合、相続争いに発展してしまうこともあります。
しかし、付言事項で故人様の思いや感謝の気持ち、分け方の理由が丁寧に記されていれば、「お父さん(お母さん)はこんな風に思ってくれていたんだ」とご家族が納得し、遺言の内容を尊重してくれる可能性が高まります。
付言事項は、ご家族の心をつなぎ、未来を守るための大切なメッセージなのです。